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1995 年度 実績報告書

ポリオウイルス感染を決定する生体機能

研究課題

研究課題/領域番号 07102005
研究機関東京大学

研究代表者

野本 明男  東京大学, 医科学研究所, 教授 (70112670)

キーワードポリオウイルス / 種特異性 / 病原性 / 複製 / 宿主分子 / トランスジェニックマウス / ポリオウイルス受容体 / アデノウイルスベクター
研究概要

ポリオウイルス感染特異的蛋白質合成は、キャップ依存的ではなく、5′非翻訳領域のIRESエレメントにリボソームがエントリ-することにより開始する。このIRESの機能はポリオウイルスの組織特異性の重要な決定要因であることが示唆されている。Stem and loop(SL)II構造は、ポリオウイルスIRESの一部であると報告されている。今年度の研究により、SLII構造は、ウイルスRNA合成開始のシスエレメントの一部でもあることを明らかにした。さらに、数多くのSLIIに関する変異体ウイルスの複製能を解析した結果、IRES機能がウイルスの種特異性にも影響を与えることを明らかにした。
マウス腸管に適応したポリオウイルス株(MN変異株)を、1型の強毒Mahoney株から分離し、そのゲノム構造を解析した。その結果、全ての変異部位(6ケ所)がRNA複製用蛋白質の領域内に存在することが明らかとなった。このことは、マウス腸管への適応はRNA複製過程の効率上昇の結果であり、レセプター認識の変化ではないことを強く示唆するものである。また同時に、親株のMahoney株もマウスの腸管細胞を認識し、感染初期過程はMN変異株同様に進行することを示している。実際に、マウスに10^7PFUのmahoney株を経口投与したとき、5匹中2〜3匹が腸管に軽度の障害を呈することが明らかとなった。
ポリオウイルスの強毒Mahoney株と弱毒Sabinl株のIRES活性をマウス個体内で測定するため、第1シストロンにCATmRNA、第2シストロンにIRESにより発現するβ-galmRNAを持つジシストロニックmRNAのcDNAを作製し、アデノウイルスベクターに組み込んだ。このベクターによるIRES活性の測定が可能であるか否かを培養細胞系を使用して調べた。その結果、ある条件内では、測定可能であることを明らかにした。中枢の神経細胞特異的なポリオウイルスレセプター遺伝子発現のプロモーターを同定するための組換えアデノウイルスも作製した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Shinobu Abe: "Neurobirulence test for oral live poliovaccines using poliovirus-sensitive transgenic mice" Virology. 206. 1075-1083 (1995)

  • [文献書誌] Bernard P.Mahon: "Poliovirus-specific CD4_+Th1 clones with both cytotoxic and helper activity mediate protective humoral immunity against a lethal poliovirus infection..." J.Exp.Med.181. 1285-1292 (1995)

  • [文献書誌] Shinobu Abe: "Studies on neurovirulence in poliovirues sensitive-transgenic mice and cynomolgus monkeys for the different..." Virology. 210. 160-166 (1995)

  • [文献書誌] Kazuko Shiroki: "A new cis-acting element for RNA replication within the 5′ noncoding region of poliovirus type 1 RNA" J.Virol.69. 6825-6832 (1995)

  • [文献書誌] Akiko Nomoto: "Recombinant polioviruses as candidate strains of oral poliovaccines" Dev.Biol.Stand.84. 123-127 (1995)

  • [文献書誌] Junken Aoki: "Mouse homolog of poliovirus receptor mediates homophilic cell aggregation" J.Biol.Chem.in press.

  • [文献書誌] Akiko Nomoto: "The World Congress on Alternatives and Animal Use in the Life" Alan M.Goldberg and L.F.M.van Zutphen,Mary Ann Liebert,Inc., 738 (1995)

  • [文献書誌] Akiko Nomoto: "Hepatitis C virus and its involvement in the development of hepatocellular carcinoma" The Princess Takamatsu Cancer Research Fund(in press),

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2013-05-31  

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