研究課題/領域番号 |
07102007
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
物理系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山下 広順 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80022622)
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研究分担者 |
難波 義治 中部大学, 工学部, 教授 (40029129)
田原 譲 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10135296)
國枝 秀世 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00126856)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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キーワード | 銀河団 / X線撮像 / X線スペクトル / ハッブル定数 / プラズマ温度 / X線望遠鏡 / 多層膜スーパーミラー / 多層膜回折格子 |
研究概要 |
X線天文衛星「あすか」の観測によって得られた100個に及ぶ銀河団の画像スペクトルデータの解析によりその構造と進化の研究を行なった。X線表面輝度とプラズマ温度分布の解析により、これまで等温で、力学的に緩和していると考えられていた銀河団が併合合体の途上にあることを明らかにした。その温度は5〜12keVとなり、衝撃波による加熱が大きな役割を果たしている。X線スペクトル中に顕著に現われる鉄輝線の共鳴散乱効果から、重元素の存在量が従来の値に比べて最大で2倍となり、その起源に新たな問題を提起した。ハッブル定数として、電波でスニヤエフ-ゼルドビッチ効果が観測されている遠方の銀河団(z=0.17〜0.54)の観測をもとに、60+/-20km/sec/Mpcの値を導出した。また、高エネルギー領域の画像から非熱的放射をする点源の存在が明らかになってきた。 高効率・広帯域・高分解能X線望遠鏡の開発を進めた。特に、硬X線領域で高い反射率を有する白金/炭素の多層膜スーパーミラーの最適設計と製作を行なった。その結果、このスーパーミラーを薄板レプリカ鏡に成膜することに成功し、世界で初めて硬X線望遠鏡を実現した。周期長50〜36Aと積層数26組で製作され、入射角0.3゚で25〜35keVにおいて30%の反射率が得られ、結像性能は4.5keVのX線とほぼ同等であった。これにより新たな観測の窓が開かれ、未知の天体の探索が可能となり、気球による銀河団の硬X線の撮像観測に向けて明るい見通しが得られた。また、1〜10keVの分光素子として、ラミナー型多層膜回折格子を開発し、Cu-Kα(8keV)に対して20%を越える1次光の反射率と100以上の分解能を達成した。
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