研究概要 |
概要 1. 金属固体表面上の光励起によって生ずる金属イオンの反応について申請者らが開発した「レーザーアブレーション・分子ビーム法(LAMB法)」では多くの種類の新規な有機金属化合物および無機錯体イオンを生成させることが出来る。これらの中には分子構造的に興味深いものが多い。これらの構造を分光学的に決定しようとするのが本研究の目的である。 2. 金属イオンM^+=Mg^+,Al^+,Mn^+,Co^+とアンモニア・水二成分クラスター(NH_3)_p(H_2O)_qとの反応によるM^+(NH_3)_m(H_2O)_nの生成反応について、Klotsのevaporative ensemble理論にもとづく反応速度論的シミュレーションを行い、生成物イオンの実験的な分布をよく再現することができた。 3. 金属イオンM^+=Ti^+,V^+,Cr^+,Mn^+,Fe^+とCr(CO)_6との反応によって生じる混合金属へテロ二核カルボニルイオン[MCr(CO)_n]^+,n=4-6について密度汎関数法による計算を行い、最適化構造とエネルギーを計算した。 4. 低温希ガスマトリックス・フーリエ変換赤外分光(FTIR)分光法により、各種金属とCr(CO)_6とを反応させた系、各種金属とベンゼンあるいはトルエンを反応させた系について、赤外分光を行った。 5. Nd:YAGレーザーと色素レーザーの差周波によりナノ秒波長可変赤外レーザーシステムを構築し、メタノールクラスターイオン(CH_3OH)_4^+の赤外吸収スペクトルを測定した。 6. イオントラップ装着四重極質量分析計を製作しベンゼンダイマーイオン(C_6H_6)_2^+およびベンゼン誘導体ダイマーイオン(C_6H_5X)_2^+の近赤外部における前期解離のアクションスペクトルを測定し、議論した。 7. 可視部のギャビティリングダウン分光装置を構築し、その性能を確かめるために、ヨウ素の高分解能・高感度吸収スペクトルを測定した。 8. 平成7-10年度における本研究の研究成果報告書を作成した。
|