研究課題/領域番号 |
07102011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
薮崎 努 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60026127)
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研究分担者 |
高橋 義朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40226907)
大見 哲巨 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70025435)
小貫 明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90112284)
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キーワード | 超流動ヘリウム / レーザー分光 / 中性原子 / 磁気共鳴 |
研究概要 |
本年度に得られた主な成果を以下に列記する。 1)超流動ヘリウム中のアルカリ原子の励起スペクトルの中でD_2線が2つの成分に分離していることは既に実験的に観測されていた。本研究ではこれが、アルカリ原子を取り巻くヘリウム液体の分布における四重極振動であることを理論的に研究し、得られたスペクトルの形を再現することができた。 2)アルカリ原子の第一励起状態からの発光が、液体ヘリウム中ではクェンテする現象を明らかにするために、ヘリウムの圧力を27気圧まで変化できるセルで実験を行なった。その結果、消光が原子の種数、励起状態の角運動量、ヘリウム圧力で変化することを明らかにした。 3)消光過程を明らかにするために、近赤外領域でのレーザー励起発光を調べてみた。その結果、CsやRb、K原子の励起状態において、2個あるいは6個程度のヘリウム原子が内殼近傍に捕捉され、いわゆるexciplexが生成されることを明らかにした。 4)重いランタノイド元素では内殼電子が欠損している場合が多い。従って基礎状態からの内殼遷移が生じる。本研究ではトリウム原子について特に内殼遷移についての研究を行なった。その結果、ヘリウム原子の侵入が最外電子により阻止されているため、内殼遷移による発光スペクトルがほとんど真空中の原子のように鋭く、ソアトも低いことを明らかにした。 5)気相アルカリ原子と液体ヘリウム表面との相互作用の研究を行なった。そのけっか、内面が超流動ヘリウムのフィルムで覆うとアルカリ蒸気は低温であるにも拘わらず、2時間以上存在し続けることを見出し、基礎物理学への応用に非常に有望であることを指摘した。
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