平成7年度は、本手法の信頼度を確かめるため、前年度の1月に探査を行って良い結果を得ていた福岡県八女市の岩戸山古墳で、異なる季節に再び同様な探査を行い、前年度の結果と比較した。また、本探査法の精度を調べる目的で、深さと位置のわかっている坑道(京都大学火山研究施設;熊本県阿蘇郡長陽村;深さ8.5メートル)の上の地表で探査を試みた。用いた周波数はいずれも前年度と同じ40.68Mhzである。 まず、岩戸山では、1995年8月に、前年度とまったく同じ測線上(古墳軸にほぼ平行;東西方向)で探査を行った。その結果、前年度とほとんど一致する位置で延長約6メートルにわたり地下からの反射と思われる電場のピークを検出した。このことは、本手法の信頼度が十分高いことを示すものである。ただし、反射の強さは前回よりも弱く、地盤条件の違いを反映したものと考えられた。 この反射は、地表下3.5メートルおよび7.0メートルの石室の天井および床からの反射と推測されることから、つぎに測線を直角方向に(南に)1メートルずらして同様な探査を行い、主測線の結果に対し西に数10センチメートルずれた反射パタンを得た。これは、反射を生ずる地下の構造(横穴)がやや西に片寄った南方から進入しているためと推測される。 次に、京大火山研究施設における精度確認実験では、延長30メートルの測線を設けて探査を行ったが、明瞭な反射を検出できなかった。原因として、坑道が探査能力に対して深すぎた;地層条件が不適だった;坑道の天井が丸くて反射の効率が悪かったなどが考えられた。
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