本研究代表者および研究分担者は、西九州の海底遺跡の分布をハイドロアイソスタシ-で説明でき、かつ海底遺跡の分布を予測できると考え、西九州の北緯33度線にそった地域やその周辺で掘削法(ボーリング)と14C年代測定、貝・珪藻化石、硫黄分析によって、過去1万年の海水準変動を明らかにしてきた。 北緯33度線各地における海水準の観測値の結果は、ハイドロアイソスタシ-の理論計算値と一致し、海洋(東シナ海)側が沈降し陸(九州)側が隆起する傾向を示していることから、これらの地域の地殻変動はハイドロアイソスタシ-によると判断される。また、氷河性海水準変動モデルをもとに、各時代のハイドロアイソスタシ-の理論計算に基づく海面の高さと当時の旧汀線付近地形の分布を示した。これにより、各時代の遺跡分布の下限高度が明らかとなった。しかし、遺跡探査にはもっと大縮尺、例えば1/5万や1/2.5万の旧汀線分布図が必要であり、各調査地域ごとに作成中である。
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