研究課題/領域番号 |
07206107
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 暉之 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (90086231)
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研究分担者 |
宇山 智彦 北海道大学, スラブ研究センター, 助教授 (40281852)
篠原 琢 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (20251564)
豊川 浩一 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (30172208)
西山 克典 札幌市立高等専門学校, 助教授 (00133687)
柴 宣弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50187390)
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キーワード | 地域意識 / 地域統合 / 中欧 / バルカン / カザフスタン / ヴォルガ流域 / ウラル地方 / ロシア極東 |
研究概要 |
「自存と共存の条件」を副題に掲げる本重点領域研究において、本班は「地域」にあて、具体的には、(1)シベリア・ロシア極東、(2)ブォルカ流域、(3)ウラル地域、(4)カザフスタン、(5)カザフスタン、(5)中欧、(6)バルカン、という6つの地域を設定し、それぞれに関わる地域概念・地域意識・地域構造の歴史を掘り下げる作業を通じて「スラブ・ユーラシアの変動」の意味を問い直すことを課題としている。今年度は東京および札幌で合計5回の研究会をもち、これらの地域について前年度に引き続き関連資料を収集し、各分担者の研究報告と討論を中心に共同研究を進めた。得られた知見は多岐におよび、対象地域ごとに異なるが、ブォルカ・ウラル地域を例にとれば、ロシアによる併合・編入過程で刻印された一連の特質(都市と農村の関係における民族的社会要因の交錯、信仰における改宗と対抗、文化・言語における同化と断裂、非併合民族のもとでの居住地のモザイク的分布と生業の周縁性など)を析出し、所与の対象地域をば、複数の異質な要素がダイナミックに相互に反発と融合、統合と分離の交渉をくりひろげる独自の動態的な「社会集団の複雑な併存状況」として捉えることができた。個別具体的な対象を、より広い普遍的関連性のなかに投影することによって獲得されるその対象に固有な特殊な構造の発見。これは、対象地域の差異を超えて通底する本班の共同研究で明らかになった成果である。 歴史的の方法に立脚する本班の研究研究と、「政治システムの変革と地域間関係」を政治学の手法で分析するA01〜A03班、また「民族の問題と共存の条件」を主として民族学の観点から考究するCO1班等の研究活動を統合する視座の獲得は今後の課題である。
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