研究課題
今年度の成果として、遺跡が地域のなかで時代的、空間的にどんな位置を占めるかといいう問題を解決するために、青森県教育委員会が平成4年3月に出版した『青森県遺跡地図』を基礎資料として青森県考古学遺跡データベースを作成した。データベースにはメッシュ法を採用することにした。考古学遺跡はサイズやその内容が多様で数量的な把握が難しい。そこで地図に10×10(=100)のメッシュをかけ、それぞれにID番号をつけることによって空間を固定し、そこに含まれる要素(地形、遺跡)をメッシュの属性としてあつかうことによって数量化しようとしたのである。地形要素としては、海岸線、100m、300m、主要河川を、遺跡については縄文時代の草創期、早期、前期、中期、後期、晩期という、現在考古学者の間にひろく採用されている時代区分と、弥生、平安、中世という歴史の時代区分を時代要素として採用した。以上の要素を、(ある=1、なし=0)としてメッシュごとに記録した。遺跡は1メッシュの中に2つ以上の遺跡があっても別個にはあつかわなかった。つまり、このデータベースは遺跡そのものの評価ではなく、メッシュに区切られた「空間」の評価なのである。これらのデータをつかって縄文時代をはじめとする各時期の遺跡分布を示すカラー・モニター表示装置をつくった。各時期の遺跡分布のちがいを視覚的にとらえることをめざしたものである。また、二つの地図を重ねることによって、狩猟採集段階にある縄文時代早期と水田稲作を開始した弥生時代の土地利用のあり方を直接対比することも可能にした。これは将来三内丸山遺跡展示室における観客用装置のプロトタイプとなるものである。もう一つはメッシュの統計処理で、これについては現在論文を作成中である。
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