研究概要 |
局在化軌道の応用として、今年度は銅表面へのリチウム原子の吸着系を取り上げた。当初、リチウム原子と吸着している銅原子のみの電子相関を考慮するというモデルを考えたが、多くの励起状態では銅の4s軌道とリチウム原子の2s軌道が関与しクラスター全体にわたり電子相関を考慮する必要が生じた。したがって、この系では局在化軌道を利用して計算をコンパクト化することができなくなり、やむを得ずcanonicalな軌道を使う従来の配置間相互作用法による計算を行なった。最近の実験によると、銅表面(011)面へのLi原子吸着時のLi(1s)へのAuger過程において49eV、46eVの2種類のAuger電子が観測されている。これらは、銅の軌道に関連したAuger過程であると考えられるが、本研究ではCu5Liというクラスターをこの系のモデルとして考え、これらふたつのピークの理論的な同定を行った。 昨年度までに行った局在化軌道の定式化とヘキサトリエン分子への応用は、Int, Qunat. Chem.に投稿し印刷中であり、さらに今年度行ったクラスター分子の計算はPhy. Rev.に投稿中である。
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