研究概要 |
80年代半ばよりさかんとなったq-解析ではさまざまな非可換代数があらわれる。たとえばq-差分作用素環や古典群の包絡環の量子化、さらにはアフィンワイル群やアフィンヘッケ環などがq-解析にあらわれる。この研究では、これらの多様な代数で種々の実験をおこなうための数式処理系のための言語およびアルゴリズムを開発することが目的であった。残念ながらこの目標はいまだ完全に達成されていないが、以下のような成果があった。 1.グレブナ基底の計算システムkan/sm1は5年目を迎えた。kan/sm1は多項式環、微分差分作用素環、q-差分作用素環のイデアルに関する種々の演算を実行することができる。旧来のコードをすべて書き換えて、Version 2を公開した。パ-サの書き換えと高速化、グレブナ基底の計算をhomogeneous polynomialsを基本とした方法にあらためて高速化、D-加群用のパッケージの充実、富士通情報研のrisa/asir, D. GraysonとM. StillmanによるMacaulay2などへの実験的組み込みなどをおこなった。 2.整数計画法とq-超幾何関数との間に関係があることがわかった。 3.Coxeter群やHecke環をあつかうためのアルゴリズムの研究をスタートした。とくに,Brink-Howlettのアルゴリズムの研究をスタートした。 Coxwter群やHecke環をあつかうためのアルゴリズム、システムの研究は来年度にはなんらかの成果をだせるものと期待している。
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