研究概要 |
サンプルは粉末C_<60>より真空蒸着法を用いてまず単結晶をつくり、それをアルカリ金属蒸気下におきインターカレイトして作成した.インターカレイションの条件が文献だけでは充分でなく試行錯誤を繰り返したが、K_3C_<60>,K_6C_<60>,Rb_3C_<60>,Rb_6C_<60>等のサンプル作成法を確立した.まず、これらの単結晶K_3C_<60>,K_6C_<60>,Rb_3C_<60>,Rb_6C_<60>からの常圧ラマンスペクトルを測定した.A_6C_<60>(Aはアルカリ金属を指す)は比較的作りやすくラマンスペクトルの文献はたくさんあるが、A_3C_<60>の場合は薄膜のデータしか発表されていないようで、今回単結晶K_3C_<60>,Rb_3C_<60>からのAg(1),Hg(1)モードも観測した. サンプルはインターカレイトされていないC_<60>においても酸素を取り込んだり、強度のレーザ光を照射すると重合したりするので取り扱いが難しい.アルカリ金属ドープ後は酸素、水等と激しく反応するため相当な注意が必要で、ダイヤモンドアンヴィルを使用した高圧ラマン散乱実験は容易ではない.我々は、しかしながら(preliminaryではあるが)Rb_3C_<60>からの高圧ラマン散乱を行いペンタゴナルピンチモードの圧力依存性(0〜71kbar)を観測した.このモードのラマンシフトは高周波数側に圧力とともに増加するが、ドラスティックな変化は観測されなかった.圧力媒体に使用したミネラルオイルからのラマン散乱、サンプルの取り扱いなどまだ問題はあるが、このサンプルの高圧実験方法はほぼ確立したといえる.今後、さらにデータをとりアルカリ金属をインターカレイトしたC_<60>のラマンピークの圧力依存性をあきらかにしたいと考えている.
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