研究概要 |
1.キラルルイス酸をスチレンポリマー上に実現した高分子キラルルイス酸は高エナンチオ選択性を達成したが、量論量条件から触媒条件への変換は改善されなかった。そこで、スチレン間にスペーサーさらにスチレンとアミノ酸スルホンアミド間にスペーサーを導入した種々の高分子を合成し、不斉アルドール反応に適用してみたが、全く問題の解決に至らなかった。そこで、キラル系をアミノ酸からビナフチルへ変更し、新しい高分子キラル化合物を合成した。またこの合成の過程で高選択的な[1,2]Wittig転位反応を見い出した。この共重合体キラルポリマーと各種金属イオン類との相互作用が現在検討されている。 2.一方、均一系でのキラルボラン錯体を用いる反応では、さまざまな研究の進展がみられた。アミノ酸スルホンアミドとBH_3から調製されたボラン錯体は、キラルアルデヒドとシリルケテンアセタールの反応を有効に進行させ、反応の立体化学が全くアルデヒドの立体に依存せず触媒の立体にのみ依存することが明らかになった(Catalyst Control)。さらに酢酸エステルのα位にDithiolane基を導入し、それから得たシリル求核剤はきわめて優れたAcetate Aldolsの有効なシントンであることが判明した。
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