研究概要 |
シクロプロパノンアセタール類1が、分子骨格の高歪のみならず酸素置換基によって高電子供与性を賦与されていることをこれまで報告した。このことと1がC3合成素子のb-カルボニルラジカル等価体として利用できる特長を生かし、適切に設計された電子受容体と組み合わせ特色ある炭素結合形成反応を新規に開拓した。例えば、適切な脱離基を持ったアリールメチル基と1は、光誘起電子移動を起こしたあと、いずれも脱離基を外してラジカル対(イオン対ではない)を形成し、高効率の炭素結合形成を行ってエステルb位でのアリールメチル化を可能にした。カルボニル化合物との反応においては、込み合ったb-位で炭素結合を形成し、g-ヒドロキシカルボン酸エステルあるいは対応するラクトンを生じた。具体的な成果を2つ次に示す。 (1)2-フェニル置換シクロプロパノンアセタール(1a)とカルボニル化合物の光反応。1aとベンゾフェノンをCH_3CN溶液中湿ったMg(ClO_4_2)を1モル加えて-40度で光照射すると、期待したC-C結合生成物のg-ヒドロキシエステル3aが78%で生成した。この反応条件を用いて2a以外のカルボニル化合物との反応を検討した結果、同様に期待した通りの結果が得られた。(2)2,2-二置換シクロプロパノンアセタールおよびビシクロアセタールとの反応。2-オキサ1-シリルオキシビシクロ[3.1.0]型アセタールとケトンとの反応では環広大生成物の6員環エーテル誘導体が効率高く生成した。
|