研究概要 |
1.ホットカソードセルおよびマイクロ波放電装置の製作 現有のマイクロ波分光器はミリ波クライストロン出力を周波数逓倍器で3〜4倍にして、360GHzまでのサブミリ波を発生させ,光源としている.高周波数のマイクロ波を利用することにより分光器の感度を向上させることができるため、低濃度でしか生成しない不安定分子の検出に極めて有効である.ホットカソードを利用した分子の生成・励起の他にマイクロ波放電で生成させた希ガスの準安定原子による衝突を利用するためマイクロ波放電装置を製作した. 2.ミリ波分光法によるラジカルおよびイオンの回転スペクトルの観測 ミリ波およびサブミリ波領域でスペクトル測定の行なえるパソコン制御グロー放電型マイクロ波分光器により珪素・遷移金属などを含む不安定分子を検出した.SiBr_4のグロー放電によりSiBr^+のスペクトルを初めて見出し、回転定数、遠心力不定数、核四極子相互作用定数などを精密に決定できた.これにより珪素‐ハロゲン結合のイオン性を検討した. 我々は先に三塩化アルミニウム蒸気のグロー放電により電極からのスパッタリングにより生成した金属原子ヒ塩素との反応によるCrClが存在することを回転スペクトルから明らかにした.この方法を応用し、同じ系でFeClラジカルの回転スペクトルを測定した.この分子の電子基底状態はCrClと異なりΣ状態ではなく,電子スペクトルおよび理論計算から言われているように^6Δiであることと矛盾しなかった.超微細分裂は観測されず、イオン性の強い結合をもつことが推定された.また、クロム粉末をステンレス電極上に置き,CF_4を放電することによりCrFが生成することを明らかにできた.この分子の電子状態はCrClと同じ^6Σであった.さらに我々はNBr,NIを窒素、ハロゲン、ヘリウム混合ガスの放電により生成させ、スペクトルを測定することができた.核四極子相互作用定数から結合のイオン性を推定した.
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