研究概要 |
(1)6〜31eVの光励起におけるSiCl_4分子の分解過程 SiCl_4分子を6-31eVのエネルギーで光分解すると、A^1B_1および^3B_1電子状態のSiCl_2ラジカルの生成が観測された。光分解におけるtriplet-SiCl_2ラジカルの生成を確認したのは本測定が初めてである。SiCl_2(^3B_1)の生成は第2イオン化ポテンシャルに収斂するリュードベリ状態とSiCI_2(A^1B_1)ラジカルは第3イオン化ポテシャルに収斂するリュードベリ状態と相関があるという状態選択性を見出した。 (2)超励起状態C_2H_2,C_2HDおよびC_2D_2の分解過程 超励起アセチレン分子から電子励起C_2およびCHラジカルが生じる。その生成機構を重水素同位体効果を利用して研究した。超励起アセチレンにおいては、三員環錯合体を経由した分子内水素原子移動によるビニリデンラジカルへの異性化が起こり、このプロセスが電子励起ラジカルの生成に重要であることを明らかにした。 (3)BrCN分子のBr(3d)領域の光化学 異核3原子分子で、質量分離が容易であるBrCN分子の光吸収断面積を5-450eVの領域について測定した。この内、特に価電子と内殻が共存するBrCNのBr(3d)領域である70-80eVにおけるリュードベリ分子過程を高分解の光吸収スペクトル測定と光イオン-光イオン同時計測法を用いてあきらかにした。
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