研究概要 |
1気圧の雰囲気の中で、マイクロ波電力(2.45GHz, 1kW)を用いて、ヘリウム、酸素および窒素プラズマを、同じcavity(Okamoto cavity)で生成することに世界で初めて成功した。 このとき発生するこれらのラジカル(He*587.6nm,0*777.6mm,N*674.4nmなど)はじめ励起温度(Texc)や回転温度(Trot)、さらに電子密度(ne)のマイクロ波電力(W)などの空間分布依存性を明らかにした。 これらのプラズマの生成には、岡本が研究開発したOkamoto Cavity(Anal. Sci., 7(1991)283)を一部変更して、まず安定に動作する領域を明らかにした。次に、これらラジカルの強度を発光強度から、プラズマのTexcをFeの原子線の発光強度のボルツマンプロットから、さらにneをSahaの式をベースにFeの原子線とイオン線の強度比から得た。マイクロ波電力W=1kWでヘリウムプラズマを安定に生成するためには、ガス流量として約25l/min必要で、このとき、のTexc(Fe)=5500k,ne=10^<13>-10^<14>/cm^3が得られた。また、窒素プラズマでは、Texc(Fe)=5400K,Trot=5000Kが得られた。さらに、ラジカル(He*587.6nm,0*777.6nm,N*674.4nmなど)の種類と密度および空間分布は、マイクロ波電力やガス流量などにより、かなり選択的に制御できることが明らかになった。 今後は予算と時間の関係で出来なかったこれらプラズマ中のラジカルの輸送過程を明らかにすると共に、これらプラズマとシランガスなどを反応させて、機能性(多結晶)薄膜などの創製を検討し、大気圧ラズマの新しい応用を拓く予定である。
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