100kW級ハイブリッドプラズマ溶射装置における単一溶射粒子の速度、粒径、及び基板衝突時の変形・急冷凝固過程をその場計測するために計測システムを開発した。2本の光ファイバーを用いてプラズマ中の溶融粒子が発する放射光を取り込み、電気信号に変換した後デジタルオシロスコープによりサンプリングを行なう。粒子速度、粒径は基板直上に設置した光ファイバーからの放射光の時間変化より算出し、温度は基板を視野に入れて設置した光ファイバーからの放射光を分光し強度の比より求める。 減圧溶射時の粒子速度の計測を行なったところ、同一条件のもとで大気圧時の平均粒子速度が28m/sであるのに対し、250Torrでは100m/sと約4倍に増大するという結果が得られた。更に高周波入力をパラメータとして大気圧溶射における粒子速度及び凝固時間の計測を行なった結果、粒子速度に関しては高周波入力によらず平均40±5m/s程度であった。このことから本研究で用いるハイブリッドプラズマ溶射の場合、粒子速度は直流ジェットによって支配されるといえる。凝固時間に関しては、各々の条件において凝固過程を示さない粒子から約400μsに到る粒子まで存在し、その凝固時間は幅広く分布していることが判明した。しかしながら本研究により、分布が存在する溶射粒子の挙動を統計処理することが可能となったといえる。
|