LSI配線材料は微細化にともないエレクトロ・マイグレーションやストレス・マイグレーションによる断線が問題になっている。これらを改善するための方法の一つに、配線の単結晶化がある。我々は、その中でも特に、溝を形成した絶縁膜上に成膜して連続的に真空熱処理することで溝にのみ単結晶の配線を埋め込む方法について、電子顕微鏡(電顕)内その場観察法によって調べた。本研究ではA1薄膜の固相状態における溝中への埋め込み過程および凝固過程の解析を行った。その結果、以下の知見を得た。 (1)成膜されたA1は固相状態で絶縁膜表面を移動して、このような微小断面をもつ溝の中に埋め込まれる。小さな曲率半径に起因した薄膜中に発生した圧力が、A1薄膜の固相状態での溝中への埋め込みに寄与していると考えられる。(2)そこで溶融したA1は、凝固時には大きな過冷却状態(100K以上)にあり、結晶成長速度が凝固核の生成速度に比べて著しく速いために、一ケ所で核生成が起こると同時に溝全体が固化して、単結晶化する。
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