研究概要 |
この研究の本年度の目的は微少角散乱法による核偏極法の確立にあった。そのためには高真空のチェンバーの製作が大切である。この実験のための真空チェンバーを設計・製作した。チェンバーは次の主な装置・測定器・治具が備えられている。 ◎300リッターの排気能力の分子ポンプを主とした排気装置。一部、Oリングを用いているが、チェンバーの真空度は現在2x10^<-7>を得ている。 ◎高電圧(3keV)を用いた平行銅板プレートによる、入射の放射性原子核の微少角曲げ装置。 ◎微少角散乱されるように表面処理されたシリコン板。これは直線導入端子を用いて、位置を外部から変られるようにしてある。これで最適の位置を測定・設定できる。 ◎散乱された原子核集めるキャチャーフォイル。通常は白金箔を用いるが、次の^<125>Baの実験では、長時間スピンの偏極が保たれる様にBaF_2の単結晶を用いる予定である。 ◎これらの埋め込まれた原子核からの放射線(主にβ線)を検出するSi検出器(450mm^2,1mm thick)2台。これらはスピン偏極方向の0度と180度方向に設置されている。チェンバーの外部にはGe検出器を置きγ線の検出も同時に行う。 ◎核磁気共鳴を起こさせるNMR用のコイル。 ◎その他、内部が覗ける窓、真空ゲージ、電気信号用の端子などの治具 これらの装置を用いての実験は高崎原研のサイクロトロンとオン-ライン質量分析器による^<125>Ba(T_<1/2>=3.5m)のビームを用いて行う予定である。長時間偏極度を保つためにBaF_2に埋め込む予定である。また外部磁場は2kG程度の磁場を用いて、核偏極とそれに対する核磁気共鳴のオンラインの実験を行う予定である。
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