研究概要 |
安定線から離れた原子核のバレンス核子間の相関を調べる反応として、荷電変換反応に関する検討を行った。クーロン力の働く陽子-陽子相関の研究の準備として、クーロン力の働かない中性子-中性子相関を調べるために、核子あたり65MeVの^<11>Li核の荷電変換反応、^<11>Li(p,n)^<11>Be^*および^<11>Li(d,2n)^<11>Be^*の解析を行った。2つのバレンス中性子が非常に弱く束縛されている^<11>Li核のアイソバリックアナログ状態(IAS)を発見した。IASのエネルギーおよび崩壊幅から、陽子(p)および中性子(n)の軌道に関する情報が得られ、s軌道の成分の大きさが求められた。また、ガモフテラー型の荷電変換反応の解析から、ベータ崩壊の測定でよく知られている^<11>Be核の第1励起状態への遷移強度と比較して、非常に大きな確率で重陽子が放出されることが明らかになり、この強度分布から中性子-中性子相関の強さが明らかにできると期待される。 上記実験結果に基づき、陽子過剰核^<17>Neおよび^<20>Mg核の荷電変換反応実験の設計を行った。測定すべき核(^<15>Oおよび^<18>Ne)の原子番号(Z)が大きいため、粒子識別に工夫が必要となる。Zの識別の分解能を向上させるために用いるSi半導体検出器(マイクロストリップ型)を購入し、この検出器の性能評価を行っている。また、同位体の識別のためにエネルギー減衰を用いた2段階の飛行時間差法を用いることによって十分な粒子識別が可能となることが明らかとなり、現在、これらを用いた検出器システムを設計中である。
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