光と物質との相互作用は固体内の電子の挙動とからんで次々と新しい話題を提供する。半導体量子デバイスの開発では、電子波制御のために静的な外部電磁場とともに“光と電子波の相互作用"が中心的役割を果たすことは明らかであろう。本研究はその中心を次の二つにおく;一つはヘテロ構造の電子遷移を伴う発光や光吸収である、もう一本の柱は微細構造における電磁場の存在様式の探究である。今年度は、この二つが関係する電気分極の非局所性に絡んだ研究が進展した。 1.“量子井戸励起子ポラリトンからの発光"の研究を進めた。電磁場と励起子状態の結合した励起子ポラリトンのエネルギー分散を計算し、表面のグレーティングカプラーの存在を考慮した電磁場の計算を行った。 2.発光の偏光特性、発光面にたいしてp-偏光かs-偏光かにより発光の強度が劇的に変化することを示し、発光スペクトルの半定量的な予測を行うことができた。 3.Kohlらにより観測された発光スペクトルと比較してこの挙動を説明できた。 偏光この研究は表面グレーティングカプラーを用いての非放射モードの電磁波放射の一般理論の基礎になる。とくに最近注目されているホツトキャリアのプラズマ遠赤外線放射の理解を深める。 4.二次元電子系の発光理論を展開した。
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