研究課題/領域番号 |
07228104
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩村 秀 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (10011496)
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研究分担者 |
松田 建児 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助手 (80262145)
古賀 登 九州大学, 薬学部, 教授 (60161890)
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キーワード | ピリジルカルベン / マンガン錯体 / 銅錯体 / 光応答型磁気カップラー |
研究概要 |
先に、2n個のスピンが一次元に整列したポリ(m-フェニレンカルベン)を光化学反応を用いて合成し、これらが理論的に予測される通りS=nの高スピン基底状態をもつことを明かとした。高いキュリー温度を有する有機強磁性体の光化学的生成を実現するには、次元性のより高い拡張構造が必要である。そこで、磁性金属イオンをテンプレートに用いた錯形成反応により効率的に有機フリーラジカルのスピンを集積・組織化する方法を、光化学反応と組み合わせ、超高スピンヘテロスピン系の構築を行った。二価の配位能をもつジ(4-ピリジル)ジアゾメタン1を配位不飽和な遷移金属錯体、例えばMn(hfac)_2と反応させると、組成[Mn(hfac)_2・1]_nの1:1錯体が橙色ブロック状固体として得られた。X線結晶構造解析を行ったところ、期待された通りの1次元鎖状構造をもつポリマー錯体であることが明らかとなった。モル磁化率(χ_M)をSQUID磁化率測定装置を用い、2-300Kの温度およびO-1Tの磁場強度範囲で測定した。紫外光照射前は、Mn(II)のd^5電子スピンは反磁性配位子により希釈されており、相互作用のない常磁性を示した。この錯体試料に紫外線を照射すると、三重項カルベンが生成し、この2pスピンはp-位に配位したMn(II)のdスピン反強磁性的にカップルし、1次元フェリ磁性鎖に特徴的なx_Mの温度依存が得られた。3Kでは相関距離が40構造単位にも伸びている。Cu(hfac)_2から得られた銅錯体は、光照射の結果Cu(II)のdスピン(S=1/2)とカルベンの2pスピン(S=1)とが強磁性的に相互作用したフェロ磁性鎖を形成し、3Kで約20モノマー単位のスピンが整列した超高スピン鎖(S=31)となっていることが明らかとなった。これら結晶の中では、化学量論的に生成しているカルベンが、230Kまで安定であることも特記される。上記のポリマー錯体は1次元鎖状であるためスピン秩序相への転移を認めることはできなかった。構造の次元性を高め高い磁気相転移温度をもつ錯体を合成することにより、新規光磁気記録素子の開発が可能となるものと期待される。
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