研究概要 |
予備的な実験としてFe(CO)_5を光解離して生成するCOの観測を長光路のフローセルを用いて行なった。また超音波自由噴流を用いた実験の感度を上げるためパルススリットノズルの製作を行なった。 ●フローセルを用いた測定 光解離により開始された反応の生成物であるCOを検出することに比べて、光解離により直接生成したCOを観測することは容易である。今回は予備的な実験としてFe(CO)_5を光解離して生成するCOの観測を長光路のフローセルを用いて行なった。COの吸収スペクトルv=2←1,P(3)およびv=1←0,R(3)が観測できた。吸収量は約7%であった。予備的な実験の結果光解離により生成したCOの吸収の測定は容易であることが分かった。 ●超音速自由噴流を用いた装置の改良 超音速自由噴流中でプロパルギルクロリドを光解離して生成する回転冷却されたプロパルギルラジカルの赤外吸収を,現在の装置ですでに検出した。光解離により開始された反応で生成したCOの吸収はプロパルギルラジカルの場合と比較して,1桁以上弱くなると考えられるので現在の装置の感度では観測が難しい。そのため感度の向上が必要である。感度を向上させるためパルススリットノズルを製作した。パルススリットノズルを用いることにより吸収の有効光路長を長くすることができる。パルススリットノズルはすでにNesbitt,およびBuelowらによって報告されている。今回はBuelowのタイプのノズルを改良したものを製作した。スリットの長さは1cmとした。このノズルを用いて光解離により開始された反応で生成したCOの吸収を測定する準備を現在進めているところである。
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