ZT-Aの構造には幾つかの環構造が含まれ、環構造によって分子の延びる方向が変わる。そこで、まずそれらに相当する分解生成物の合成を行い、分子全体の構造を求めることとした。グルコースより出発し、エキソメチレンを含むフラグメントを、また不斉エポキシ化を経てスピロアセタールを含むフラグメントをそれぞれ光学活性体として合成した。スピロアセタールについては、MTPAエステルとした後、NMRスペクトルを天然物からの誘導体と比較し、その絶対配置を決定した。ZT-AとZT-Bに共通する末端脂肪酸ユニットの合成を計画した。末端脂肪酸をさらにオゾンにて分解し得られるフラグメントCに相当する化合物を、アルトロースより合成し、そのベンゾエ-ト体のCDスペクトルを天然物からの誘導体を比較し絶対配置を決定した。3 残されたトリオール部の相対配置については、村田らにより提唱された方法を適用することによって水酸基が全シン、またはメチル基がアンチであると推定された。ZTの類縁体の中で、セコ酸、ZT-Bの水素添加体ならびにベンジルアミド体はいずれも血漿板凝集作用を示さないが、水素添加体とベンジルアミド体は、ZTに対して拮抗的な作用の現れることが分かった。水溶液中における配座を知るために、水溶液中のNMRを各種測定したところ、マクロリド構造を支持するHMBスペクトルがFGを用いることによって始めて得られた。
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