研究課題/領域番号 |
07229229
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
左右田 健次 京都大学, 化学研究所, 教授 (30027023)
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研究分担者 |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (70243087)
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助手 (70182821)
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50135597)
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キーワード | アラニンラセマーゼ / ドメイン / 断片型酵素 / 分子シャペロン / フォルディング / GroESL |
研究概要 |
好熱菌由来のアラニンラセマーゼのサブユニットは、2次構造予測から2つのドメインよりなるものと推測される。両ドメインを遺伝子工学的に別々に発現させた場合、補酵素PLPを結合部位を含む、N-末端ドメインタンパク質(N-フラグメント)がinclusion bodyを形成して宿主大腸菌の不溶性の画分に回収されたのに対して、C-フラグメントは発現しなかった。しかし両者を異なるベクター上で共発現させた場合には、α2β2構造を持ち、野生型酵素の約50%の活性を示す分断型酵素が得られた。また大腸菌由来の分子シャペロンであるgroESLを共発現させた場合にはN-フラグメントは宿主E. coliの可溶性画分にえられ、ラセマーゼ活性を示した。またin vitroにおける変性N-フラグメントのリフォルディングを検討したところ、C-フラグメントまたはシャペロンGroESLとともにリフォルディングさせた場合のみラセマーゼ活性を示した。以上の結果はアラニンラセマーゼにおいてはN-末端ドメインがその活性発現に関与し、C-末端ドメインは酵素のフォルディングを助けるいわば分子内シャペロンとして働いていることを意味する。X線解析による立体構造解析の結果では、本酵素のサブユニットは大小2つのドメインから形成されるが、そのヒンジ部分の位置は予想されたドメイン領域より20残基程度N-末端側に位置した。予想されたN-末端ドメインはα,β-バレル構造をもつコアの部分と一対の逆平行β構造をもつ領域からなり、補酵素PLPはα, β-バレル構造の中心に位置している。C-末端ドメインはN-末端ドメインの突きだした部分に巻き付くように存在する。PLPを中心とする活性部位近傍には、C-末端ドメインに属する残基はほとんど存在せず、N-末端ドメインがラセマーゼの活性発現に関与するという本研究で結果を支持した。
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