研究概要 |
1)希土類リン酸塩ガラス(Ln(PO_3)_3・KPO_3)のラマンスペクトルを測定して系列でどのように変化するかを調べた。PO_2対称振動(ν1)の振動数をプロットすると、(La^<3+>〜Pm^<3+>)グループと(Eu^<3+>〜Lu^<3+>)グループの間に明らかに振動数の不連続が観測される。このことは、不連続領域においてガラスの構造(希土類イオンの内部配位数)変化があることを示していると考えられ、ラマンスペクトルからも確認されたことになる。この実験結果から、水溶液のみだけでなく系列の途中での配位数が変化することがかなり一般的な現象であることを示していると解釈される。 2)希土類硝酸塩水溶液においては、NO_3^<-->イオンは部分的に希土類イオンに直接配位している。今回は濃度が高い希土類硝酸塩水溶液において、NO_3^-イオンが希土類イオンにどのように配位しているかを調べるために、Ln(NO_3)_3・6H2O結晶を90℃で融解して融体のラマンスペクトルを測定した。その結果希土類イオンに配位しているNO_3^-の振動数にも配位数の変化が反映されていることが明かとなった。3)Speddingらの希土類電解質水溶液に関するデータが、溶液の塩濃度が増加すると、9配位の水和イオン[Ln(H2O)9]^<3+>が増加することを支持していることを見いだした。そこで、どのような機構でこのような異常な挙動を示すのか調べるために、EuCl_3とGdCl_3水溶液にLiCl,HCl,CsClを添加してラマンスペクトルを測定した。その結果LiCl,HClとCsClのいずれを添加しても[Gd(H2O)9]^<3+>が増加することが明らかになった。このことから、外圏錯体の生成で説明するのが良いとの結論に達した。4)Sc-PMBP錯体を合成しその分光学的性質、x一線結晶構造解析および熱的性質について検討した。さらにフラーレンにの分離にCeO_2が非常に有効であることが明かとなった。
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