研究概要 |
既に我々は、塩化ユウロピウム触媒系(塩化ユウロピウム・亜鉛粉・酢酸・塩化メチレン溶媒)が、酸化を酸化剤としてアルカンの部分酸化に活性であることを見出している。このユウロピウム触媒系を種々のアルケンのエポキシ化反応に適用し、希土類錯体触媒の反応特異性を明らかにすることを目的とした。その結果、学術的にも工業的にも重要な、プロピレンのエポキシ化反応が常温で選択的に進行することを見いだした。プロピレンのエポキシ化反応の最適反応条件(プロピレン圧、酸素圧、反応温度、溶媒効果など)を検討した結果、プロピレンオキサイド選択率95%、ターンオーバー数は1時間で17を越え、極めて効率良く反応が進行した。さらに、シス-,トランス-2-ヘキセン、1-ヘキセン、そしてスチルベンのエポキシ化反応の生成物選択性から、ユウロピウム触媒系の活性酸素種は球電子的、かつラジカル的性格が強いことが解った。また、ユウロピウム触媒系に回転リングディスク電極を用いて電気化学的測定法を適用することにより、エポキシ化反応が進行している際に反応に係わるユウロポウム種および酸素種の電気化学的特性を検討した。その結果、添加した3価のユウロピウムは亜鉛により還元され2価となり、このユウロピウム(II)と酸素の1電子還元により生成したスーパーオキサイドが相互作用して活性酸素を発生し、エポキシ化反応を進行させていることが明らかとなった。
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