研究概要 |
アルコキシド法と水熱法の中間に位置する新規な材料合成法であるグリコサーマル(glycothermal)法による希土類ガリウムガ-ネット(RE_3Ga_5O_<12>)や希土類酸化物固溶ジルコニア等希土類複合酸化物の合成を検討した。 ガ-ネットの化学量論に相当するガリウムアセチルアセトナートと希土類酢酸塩の混合物を1,4‐ブタンジオール中、300℃で反応させると、単一相の希土類ガリウムガ-ネットが得られる。この反応で、生成物が単分散粒子になる場合があることを認め、粒子の結晶化機構について検討し、水熱法とは異なり、結晶成長段階で欠陥を解消する機構が存在しないため、欠陥を多く含む結晶が生成することを明らかにした。 グリコサーマル法による希土類酸化物固溶ジルコニアの合成も検討し、ジルコニウムアルコキシドと希土類の酢酸塩を1,4-ブタンジオール中、300℃で反応させることにより、容易に正方晶ジルコニアの固溶体が容易に合成できることを明らかにした。また、希土類酢酸塩と鉄アセチルアセトナートの反応のグリコサーマル反応も検討したが、この反応では、ガ-ネットは生成せず、Nd〜Gd、 TbとDy、 HoとY、 Er〜Yuで構造の異なる新規結晶性生成物が得られた。グリコサーマル条件は還元性条件であり、鉄が2価に還元された結果、ガ-ネットは生成せず、上記の化合物が生成したものと考えられた。 希土類酢酸自体のエチレングリコール中での反応では2種の新規な結晶性錯体が生成することを見い出した。NMR、元素分析、熱分析等の結果より、これらの生成物は、それぞれRE_2(OCH_2CH_2O)(OAc)_2およびRE_2O(OCH_2CH_2OH)_2_2(OAc)(OH)の組成を持つと結論できた。
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