本研究におては、主として、イオン交換による水溶液加水分解法から調製した水溶液の希土類元素の多核錯体を用いて、水溶液中での多核錯体のミクロレベルでの均一混合による複合機能性材料合成のための前駆体の合成方法の開発を目的とした。 多核錯体合成とキャラクタリゼーションに時間を要し本年度は、(1)イオン交換後のYCI_3水溶液のX線回析測定から求めた示差動径分布関数の経時変化を測定し、加水分解に伴うY3+水溶液の構造変化、多核錯体の構造についての検討。(2)イオン交換法による加水分解過程における、pHによるLa^<3+>イオンの存在状態の影響および150日以上の長時間に渡る経時変化についてイオンクロマトグラフィー、UV-VISおよび溶液物性測定による検討。(3)Y^<3+>多核錯体溶液とAl^<3+>多核錯体溶液混合による前駆体を用いた焼結助剤のY_2O_2を含むAIN粉体の合成の3点について主として検討た。その結果、150日以上経過の試料溶液には沈殿、濁りを生じず透明な均一溶液を保ち、物性の経時変化より、従来考えられているよりも加水分解反応が非常に遅く、沈殿生成も生じない事から安定な多核錯体の形成が結論された。炭素還元窒化法にて焼結助剤を含むpre-mixedAINの合成を試み前駆体へのY^<3+>多核錯体の添加がAINの粒成長を促進することが明らかになり、水溶液という均一混合場の利用により、希土類元素が均一に分散したセラミックス用のpre-mixed粉末の一段階合成の可能性を見出した。 以上の結果は以下の学会に発表した。1)第12回希土類討論会(1995)「塩化イットリウム水溶液の加水分解に伴う物性変化」出来成人、伊藤邦彦、植田計幸、梶並昭彦、2)第12回希土類討論会(1995)「塩化イットリウム水溶液のX線構造解析」梶並昭彦、三輪和也、出来成人3)日本セラミックス協会第8回シンポジウム(1995)「多核錯体を用いたAIN合成におけるイットリウムの添加効果」出来成人、矢頭久斉、楫野龍哉、梶並昭彦 4)第13回希土討論会発表予定(1996)「塩化ランタン水溶液の加水分解反応」出来成人、植田計幸、梶並昭彦
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