希土類イオンとマンガンイオンあるいはコバルトイオンの両者のイオンを含有する水溶液中で電解酸化を行うと希土類イオンを含有する水和したCoOOHまたはMnO2の膜が得られた。電析は希土類イオンの存在により大きく抑制されるがコバルトの場合が著しい。また重希土の場合程そのイオンの膜中含有率が高く、抑制効果もも大きいことが分かった。水晶振動子マイクロバランス法により水和量を求め、希土類イオン一個あたりの水分子の数を求めた。その結果、MnO2の場合にはその水和量は8-10であり、水中の水和量に近い値を全ての種類の希土類イオンの場合において得られた。結局、MnO2電析には希土類イオンは析出するMnO2粒子表面に吸着しながら膜中に取り込まれることにならると考えられた。ところがCoOOHにおいては重希土イオンの場合程水和量は減少した。その数は2-3であり、水中の場合の水和数より圧倒的に少ない。結局、希土類イオンの取り込み量の増加に伴い、水和数は減少することが明かとなった。この結果より希土類イオンはCoOOHの層間に取り込まれ層状の構造を形成すると思われる。このとき層間距離はある程度の大きさまで広がることが出きるが、希土類イオンが多量になると水和数を減少させる必要がでてきて、結果として水和数の減少が生じると思われる。この層状化合物の形成は活性化エネルギーを必要とし、結果として電析抑制効果として現れてくると思われる。この希土類イオン含有層状化合物はプロトンと希土類イオンとの間でイオン交換するが、再び希土類イオンを取り込ませると始めに存在していた希土類イオンを優先的に取り込むという希土類イオン記憶性を持っていることがあきらかとなった。このイオン記憶性は層状の空間が選択性を高めるためと思われた。
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