1)Ce_<1-x>La_xB_6の新展開:CeB_6は高濃度近藤・重フェルミオン物質として注目を集めてきた物質であるが3.2Kで常磁性相から反強磁性的四重極相に転移し、2.3Kで反強磁性相が出現する。近藤効果と四重極相互作用の競合を明確に見るために、種々のCe_<1-x>La_xB_6が作られ、最近になっていろいろな興味ある結論が引き出せる様になってきた。本年度は特に東北大科研(超音波)、北大理(磁化)、東北大金研(熱起電力・低温強磁場下比熱)に試料が供給され、現在も引き続き研究が行われている。 2)重希土類ヘキサボライド:4f電子の多重性・対称性を考慮し、4f電子の関与する相互作用を統一的に見ていくためには、これまで片寄っていた軽希土類ヘキサボライドに関する研究のみでなく、4f電子とホールとが入れ替わった形の重希土類ヘキサボライドの物性研究が必要不可欠と考えられる。しかしこの重希土類ヘキサボライドは化合物としてincongruent-melt系を形成するため、単結晶作成は困難である。我々はゾーンレベリング法を駆使して単結晶化に成功した。この様な大型純良単結晶は他に類を見ないものである。本年度は特異なステップ状磁化を示すDyB_6に関し、中性子回折用^<11>B enrich試料の大型単結晶作成に成功した。また圧力下物性測定のため熊本大理との共同研究(試料供給)も行われている。 3)希土類ヘキサボライド:これまでかなりの蓄積のあるPrB_6、NdB_6、SmB_6、GdB_6、YbB_6等に関し、大幅な見直しのため、低温磁場下の比熱・磁気抵抗・熱起電力の精密測定が行われ(東北大金研)、各種試料の供給が行われている。また阪大基礎工に供給された上記試料に関する放射光測定のまとめも本年度に行われている。さらに國井により希土類ヘキサボライドに関するポイントコンタクト分光のまとめが国際会議で発表された。
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