研究概要 |
本研究では、強磁性近藤物質CeScGeのフラックス法を用いた単結晶作製及び物性研究を行った。まず、測定用試料としてアーク溶解後焼鈍した多結晶試料を用い、多結晶によるこれまでの結果の確認を行った。磁化の温度依存性の結果より磁化は、これまで報告されたような強磁性体が示すようね温度変化をせず、反強磁性体が示すようなT=46K付近にカスプを持つ温度変化をする事がわかった。T=4.2Kでの磁化の磁場依存性より、磁化はH=6T及び12T付近で小さな飛びを示し、この物質が強磁性体ではなく反強磁性体であることが明らかにされた。更に、高圧下での電気抵抗の温度依存性の測定を行った結果、高圧下で、磁気転移温度が低温側へ移動し、P=60kbarでは、高温側に近藤効果の結晶場による影響により見られるようなブロードな山が現れた。以上の結果によりCeScGeは、(1)強磁性ではなくT_N=46Kの反強磁性体、(2)磁気転移を2つ以上もつ、(3)T_Nの圧力効果はdT_N/dp=-0.58(K/kbar)であることがわかった。現在、フラックス法による単結晶作りを行っている。これまでにフラックスとしてSn,Ga等を用いて行ったが単結晶は、得られなかった。今後、フラックス濃度及び他のフラックルや二元化合物フラックスを用いて単結晶作りを行っていく予定である。
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