研究課題/領域番号 |
07233225
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
奥田 喜一 大阪府立大学, 工学部, 教授 (50028205)
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研究分担者 |
川又 修一 大阪府立大学, 工学部, 助手 (50211868)
野口 悟 大阪府立大学, 工学部, 講師 (70180718)
石田 武和 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (00159732)
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キーワード | 重い電子系化合物 / 強相関物理 / 三元f電子系化合物 / ErFe3Si8 / UFe3Si8 / Ce3Ni2Si8 |
研究概要 |
一般に、重い電子系ではf電子と隣接s,p,d電子との弱混成バンドが重要であり、一方、f電子の強いスピン・軌道結合は結晶の異方性を介して磁気異方性に大きな影響を与える。物質探索の立場において、これらはf原子の周りの環境効果の重要性を意味している。従って、我々は、f原子間距離と周辺原子配列対称性の2つを物質設計のパラメーターとし、具体的には、f原子を頂点とし底辺をT-X(T=鉄族原子、X=III〜V族原子)とする三角相図において底辺T-Xに近く、且つ、Xに近い部分を新物質探索領域とした。実際の物質探索に際して、f-f原子距離が4〜5Åにあり、層状2次元三角格子を形成するR2Fe4Si9(R=希土類元素)をモデル物質とし、R=Uとして溶融合成、EPMAによる定量分析を行ったところ、三相に分離し、U:Fe:Si=(1:3:8)、(3:2:6)、(0:1:1)となることが分かった。そこで、第一相(1:3:8)を採用しErFe3Si8の合成を行ったところ、単一相が得られたので3極アーク溶解炉による引き上げを行い単結晶を得た。これについて結晶構造の同定を行ったところ、対称性P6_3/mmcに属する新物質であることが判明した。さらに、UFe3Si8についても単結晶の引き上げに成功した。この物質の電気抵抗の異方性は大きく層面に垂直方向は面内に比べて約1.7倍の大きさである。高温帯磁率はキュリーワイス則(2.38μ_B)に従い、約30K以下で強磁性的となる。電子比熱係数は160mJ/K^2molUと評価された。R=Ceでは(1:3:8)相は形成されず、代わりに、Ce3Ni2Si8の単一相の抽出に成功しγ〜300mJ/K^2molCeと評価された。これらの結果は、現在、論文として報告すべく準備中である。
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