重い電子系超伝導体URu_2Si_2の磁性及び超伝導について調べるため、低温においてNMR、NQRを用いた研究を行い、スペクトル、ナイトシフト、核スピン-格子緩和時間(T_1)、スピンエコー減衰時間(T_2)の測定結果から以下の結果を得た。 磁性:反強磁性状態での飽和磁気モーメントが0…03μ_Bと非常に小さいことを反映し^<29>SiNMRスペクトル、及び^<101>RuNQRスペクトルには変化が見られなかったが、両方の核種において、T_N(14.5K)以下の温度で1/T_2の急激な減少が見られた。この変化はT_N以下で磁気秩序発生に伴う共鳴線の不均一な増加を反映するものと考えられる。また1/T_1の温度変化は、この物質が低温においてフェルミ液体になり、かつT_N以下でスピン密度波(SDW)発生に伴い伝導電子の状態密度が40%に減少する事を示す。 超伝導:超伝導状態において、1/T_1の温度変化は異方的な超伝導エネルギーギャップを反映し、超伝導転移温度直下にコヒーレンスピークを持たず、また更に低温では温度(T)の3乗に比例し減少する。低温での振る舞いについては^<29>SiNMRの測定結果だけでは任意性が残ったが、^<101>RuNQRの零磁場での結果も加える事により、明確に1/T_1がT^3に比例し、線上に超伝導エネルギーギャップが零になっている事を示す。超伝導状態での伝導電子のスピン帯磁率について調べるためにナイトシフトの測定を行ったが、ナイトシフトの減少が観測されなかった。ナイトシフトが何を意味しているのか、更なる研究が必要である。
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