以下の成果が得られた。 (1)超短パルス応答を数値的に求める方法として、tight-binding photon近似に基づいて、実空間での計算手法とフーリエ空間での計算手法の2つの方法を考案し、CuCl薄膜に対するパルス応答を計算した。その結果、時間領域での励起子と輻射場のdynamicsを明らかにすることができた。数フェムト秒という短い時間領域では連成波としてのポラリトンという抽象よりも励起子系と輻射場とを分離して考える抽象の方が適切であることがわかった。また、数フェムト秒程度のパルスに対しては実空間での手法が適していること、数十フェムト秒以上のパルスに対してはフーリエ空間での手法が適していることを示した。さらに、非共鳴領域では通常のパルスの部分的反射と透過という現象が見られるが、共鳴近傍では反射波及び透過波に励起子の生成消滅にともなう振動が見られることを見い出した。 (2)tight-binding polariton近似では、境界でのon-site potentialを変化させることによって、異なるABCに対応する結果が得られる事を示した。 (3)そのほかに、tight-binding photon近似を用いてはいないが、準周期プラズモンポラリトン系のトンネル電流による光放射及び非平衡励起子系の超放射の共振器の次元依存性について研究を行った。後者では新たに非平衡系の光学応答に経路積分を用いる手法を開発した。
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