メタンを部分酸化してホルムアルデヒドないしメタノールとして利用しようというのが本研究の目的である。そのための触媒としてシリカ担持の酸化モリブデンが候補として上がっていたが、ゾルゲル法により調製された触媒が非常に活性、選択性に優れていることが共同研究者である静岡大学の上野晃史教授によって発見された。同じ組成でも通常の含浸法によるものは活性、選択性共に低い。 この触媒性能の違いがどこに由来するのかを調べるために、触媒調製の各過程においてX線吸収微細構造の測定によりモリブテンの周囲の局所構造の研究を行った。その結果、最終の焼成過程の前の段階でゾルゲル法によるものと含浸法によるものとでは構造が明らかに異なることが見いだされた。600℃で焼成を行うとその違いは少なくなる。現在ゾルゲル法および含浸法により調製した触媒の焼成前後のモリブテンの局所構造の詳細について、濃度および焼成温度をパラメータとして、EXAFSおよびそのシミュレーションからなお検討中である。
|