研究課題/領域番号 |
07236222
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長屋 智之 名古屋大学, 工学部, 助手 (00228058)
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研究分担者 |
折原 宏 名古屋大学, 工学部, 助教授 (30177307)
石橋 善弘 名古屋大学, 工学部, 教授 (00023052)
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キーワード | 液晶 / レオロジー / 電気流体力学的不安定性 / 散逸構造 |
研究概要 |
負の誘電異方性を持つネマチック液晶に電場を印加すると、ある閾値以上の電圧でWilliams domain(以下WDと略す)と呼ばれるロール状の対流が発現する。WDは、非平衡散逸系のパターン形成の研究の中心的な題材であるが、剪断に対する対流パターンの変化に関してはあまり調べられていない。本研究では、粘性測定と試料の偏光顕微鏡観察を同時に行う実験系を構築し、定常剪断流による対流構造の変化およびWDが存在する条件下での液晶の粘度特性を調べた。 粘度計の試料ホルダーを透明電極付きのガラスで作成し、倒立型の偏光顕微鏡によって試料内の液晶の状態をした。ネマチック液晶MBBAに0.01%の導電性不純物を混合した試料を用いた。まず始めに、剪断をかけずに電場のみを印加してWDを発生させ、Shear rate,D=2sec^<-1>の剪断を与えて対流構造の変化を観察した。剪断の方向が対流のロール軸と垂直な場合は、剪断によって対流ロールの幅が変化した。さらに電圧を増加し、10.5Vとすると、ロールが瘤状の対流へと変化することがわかった。この瘤状対流は本研究で初めて発見された。 次に、WDが発生する閾値電圧と瘤状対流が出現する閾値電圧を調べた。D=3sec^<-1>以上の剪断流ではWDが現れてすぐ瘤状対流に変化する。剪断の増加に従って閾値電圧は単調に増加することがわかった。 交流電場を印加して剪断応力を測定した。電圧の増加に伴って対流構造は乱れていく。D=が50sec^<-1>の場合、粘性率は極大値を持つが、50sec^<-1>では単調増加になる。このとき、電圧の増加に伴って粘度も増加していく。一方、WDが起こらない800Hz以上の高周波電場のもとでは、粘性変化は見られなかった。また、導電性不純物を添加しない試料ではWDは発生せず、電場を印加しても粘性変化は観測されなかった。
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