研究課題/領域番号 |
07237102
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今田 正俊 東京大学, 物性研究所, 教授 (70143542)
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研究分担者 |
黒田 義浩 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60013504)
倉本 義夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70111250)
小形 正男 東京大学, 総合文化研究所, 助教授 (60185501)
寺倉 清之 産業技術融合領域研究所, 首席研究官
小谷 章雄 東京大学, 物性研究所, 教授 (90029504)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | モット転移 / 遷移金属酸化物 / 強相関電子系 / 酸化物高温超伝導体 / 量子臨界現象 / 軌道縮重効果 / インコヒーレント金属 / 非フェルミ液体 |
研究概要 |
d電子系モット絶縁体近傍の金属相、絶縁相、超伝導相について理論的理解が大きく進んだ。本研究の中心課題である、金属絶縁体転移ないしモット転移について、動的臨界指数の大きな新たなユニヴァーサリティが見出され、強相関効果が電子励起の運動量に特異的に依存した繰り込みを生み出すことが重要な場合があることがわかった。スピンないし軌道の揺らぎと運動量空間での縮退との相乗効果によって転移の異常さが理解されたことは大きな成果である。低次元性による特異的な運動量依存性とそれに伴う電荷ダイナミックスのインコヒーレンスなどの解明により、モット転移の量子臨界現象の理解は新たな段階へと入り、金属絶縁体転移や超伝導の制御や最適化の可能性が課題となってきている。本プロジェクトのもう1つの大きな課題はd電子系の複雑さの理解であった。たとえば、マンガン酸化物などのd電子系の強相関効果とスピン、軌道縮重効果、ヤーンテラー効果などの電子格子相互作用をできる限り現実的な形で取り入れながら、金属相、絶縁相、スピン秩序、軌道秩序、格子変形などを計算し、実験結果を再現する研究が第一原理的な手法、強相関模型での研究などを通じて大きく進んだ。銅酸化物高温超伝導体の理論模型についてのさまざまなアプローチからの研究も大きく進展した。t-j模型に基づいたスレーヴボゾン分子場近似、さらにゲージゆらぎのガウス近似、1/N展開理論、スピンゆらぎ理論などの手法や理論模型の数値計算によって多くの新しい概念が提唱され、また実験事実との定量的な比較が行なわれた。超伝導メカニズムについての充分なコンセンサスにはまだ到達していないが、高温超伝導体の絶縁体状態からオーバー・ドープ領域までを統一的に記述できるモデルが議論されるようになってきている。モット絶縁相での、スピンギャップを持った一重項基底状態と反磁性秩序を持った状態との間の競合についても進展が見られた。特にこの2つの状態の間の量子相転移の特徴の研究は、実験研究の進展にも刺激され、バナジウム酸化物や、梯子系などのスピンギャップメカニズムなどの理解が進んだ。また梯子格子系やスピンパイエルス系に非磁性不純物がドープされたときの反強磁性秩序の形成について理解が大きく進展した。梯子格子での超伝導および電荷ダイナミックスの研究も進んでいる。またd波超伝導体での境界、渦糸などでの特徴ある状態や励起についての研究が進展した。
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