研究分担者 |
小川 克郎 名古屋大学, 理学部, 教授 (40262844)
伊東 敬祐 神戸大学, 理学部, 教授 (00030792)
阿部 彩子 東京大学, 気候システムセンター, 助手 (30272537)
本多 了 広島大学, 理学部, 教授 (00219239)
小河 正基 東京大学, 教養学部, 助教授 (30194450)
|
研究概要 |
1.初期地球におけるマントル対流のレジームの変化の研究を次の2点に着目しておこなった。地球の冷却にともなって相転移をもつ対流がいかに進化するか(本多).地球内部の冷却にともなって、地球のマントル対流のレジームが2層対流から1層対流へ変化し、それに伴って巨大プリュームの落下と上昇が期待され,これが超大陸の生成とウイルソンサイクルの開始をもたらせた可能性がある。このような対流のレジームの変化を調べるため、3次元の球殻あるいは矩形の領域で、時間変化する対流パターンを、高精度・高速のグラフィックス装置を用いて表示すことを実現した.今後はこれを用いて現実的なマントル対流のシミュレーションを行い、全地球史のイベントに対応させていく試みを行う。もうひとつのアプローチは,初期地球の対流計算に大規模部分溶融を導入することによって,それらが大陸下のテクトスフェアの生成や,対流レジームを如何に変えたか,太古代-原生代境界の激しい火成活動イベントをもたらせたか否かなどを研究することである(小河).その数値シミュレーションを開始し、非線形力学の分岐現象によってマントル対流のレジームの変化が説明される可能性を見いだした.2.地球表層環境のウイルソンサイクル,ミランコビッチフォーシングに対する応答を解明するための最初のステップとして,ウイルソンサイクルモデル(大陸位置,海洋底拡大様式)を過去19億年にさかのぼって、プレート運動の原動力を考察すること、および過去の大陸復元をコンパイルすることによって構成した(瀬野).気候モデルの開発の基礎的研究を開始し、海洋物質循環モデルを用いてP/T境界の絶滅をもたらした環境の考察を行なった。また大循環モデルを古気候に適応する試みを開始した(中山,阿部,安成).P/T境界とA/P境界において,炭素,酸素,硫黄などの軽元素の地球化学循環モデルを構成し,二酸化炭素・硫黄同位体比の変化、縞状鉄鉱床の形成メカニズムを考察した(小川).3.非線形システムの自己組織化を研究するための出発モデルとして,生物群集の進化を説明するために不断均衡フィートバックを含むセルオートマタの挙動をしらべ、自然は、自己臨界状態に自ら進んでいくという原理を提案した(伊東)
|