研究分担者 |
伊東 敬祐 神戸大学, 理学部, 教授 (00030792)
安成 哲三 筑波大学, 地球科学系, 教授 (80115956)
阿部 彩子 東京大学, 気候システムセンター, 助手 (30272537)
本多 了 広島大学, 理学部, 教授 (00219239)
小河 正基 東京大学, 教養学部, 助教授 (30194450)
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研究概要 |
初期地球におけるマントル対流のレジームの変化の研究を次の2点に着目しておこなった.ひとつのアプローチでは,初期地球の対流計算に大規模部分溶融を導入することによって,それらが大陸下のテクトスフェアの生成や,対流レジームを如何に変えたかを見る.このために大規模部分溶融を含むマントル対流の数値シミュレーションをワークステーション(WS)で本格的に実行した.これによって,太古代-原生代境界の激しい火成活動をもたらせたイベントが,発熱源をもつマントル対流の自発的現象として起き得ること,古い太古代クラトンの下に残るテクトスフェアが,大規模部分溶融の結果生じることを示した(小河).もうひとつのアプローチでは,扱うマントル対流の幾何学を三次元球殻とし,相転移と核の冷却を考慮して地球の熱史を計算し,得られた結果を三次元高速グラフィックス装置(平成7年度購入)を用いて表示し,それが,パラメーター化対流の簡便な手法で計算されたものと一致することを示した(本多).地球表層環境のウイルソンサイクル,ミランコビッチフォーシングに対する応答を解明するために,前年度に過去19億年にさかのぼって構成されたウイルソンサイクルモデル(大陸位置,海洋底拡大様式)を用いて,海水準変動,大陸面積分布,海洋底生産速度を計算し,炭素同位体データを併用して,炭素循環モデルにより,大気中二酸化炭素濃度の変化をWSによって計算した(瀬野).大陸配置の違う時代の気候分布の推定や,気候の変動要因の相対的重要性の検討を行うための海洋結合大循環モデルの開発を進めた.単純な気候モデルを用いて,地球軌道要素の摂動に対する地球システム(大気・海洋・氷床・物質循環)の応答をWSによって計算した(阿部,山中,安成).複雑なフィードバック系が,自己組織化によって自然に秩序とでたらめのはざまの臨界状態に進化するモデルを体系化した.不断均衡原理(進化の過程において,最も内部矛盾を少なくするように学習をすること)に基づいたセルオートマタがカオスの縁へ自己組織化することを示した(伊東).
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