研究概要 |
本計画班では,イオン間相互作用を制御した界面を有するイオン導電性人工格子を作製し,その基本物性を明らかにする(石亀)と共に,その構造とイオンダイナミクスの関係(小藤)およびその電子構造とイオンダイナミクスの関係(辛)を実験的に研究した.これと並行して固体内におけるイオンの高速移動過程について分子動力学によるシミュレーション(岡崎)および第一原理分子動力学法を用いた固体中のプロトン移動に関するシミュレーション(川添)を行い,高速イオン移動現象の基本機構並びに発現機構を解明することを目的として研究を推進した. (石亀)イオン導電性人工格子作製装置を用いて,SrZrO_3-SrCeO_3人工格子の作製し,その基礎的物性をX線回折,RBS,ラマン散乱および光吸収などの実験により評価した.また,電気伝導度,FTIR-ATR測定により,これらの人工格子がプロトンを吸蔵し,プロトン導電体となることを明らかにした. (小藤)Yb置換の酸化物の熱的相転移と酸素イオンの挙動を明らかにするために,Zrを5mol%Ybで置換したSrZrO_3について,TG-DTAとXRDによる解析を行い,酸素空孔の増加がプロトン伝導度に大きな効果をもたらすことを明らかにした. (辛)SrTi_<0.98>Nb_<0.02>O_3,SrTi_<0.98>Sc_<0.02>O_3およびSrCe_<1-x>Yb_xO_3における光電子分光スペクトルのドープ量依存性から共有結合性と電気伝導度の相関を明らかにした.また,これらの軟X線ラマン散乱の実験を行った. (岡崎)CSZ超格子およびAgI型超イオン導電体について,分子動力学法によるシミュレーションを行い,イオン移動のダイナミクスを調べた. (川添)100個以上の原子を含む大きい単位胞を採用して大規模第一原理バンド構造計算を行ない,極めて少量の酸素の欠陥が水素の吸着位置を大きく変える様子を調べた.
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