組成の異なるYのタングステンブロンを電極に、また、Sc_2(WO_4)_3型構造を有するY_2(WO_4)_3を固体電解質として用いてY^<3+>イオンの濃淡電池を構成し、超電力を測定した。超電力は測定温度に達した後、一定値に達するまで約12時間要した。まず、Y^<3+>の活量が同じY_<0.10>WO_3を両電極として用いたところ、超電力ほぼOmVであった。一方、片側のブロンズ電極をそれぞれY_<0.12>WO_3、Y_<0.14>WO_3に変えて測定したところ、生成する超電力値は24mV、47mVであった。また、Y_<0.12>WO_3およびY_<0.14>WO_3を両電極として用いたところ超電力値は約24mVであり3種の異なるブロンズ間で加算性がほぼ成立した。さらに、ブロンズ電極の組成比の自然対数に対し、超電力値は直線となり、Nernst式の比例関数に良く対応していることもわかる。 また、Y_2(WO_4)_3、Er_2(WO_4)_3を固体電解質としてY_<85>Er_<15>、Y_<10>Er_<90>を電極として用いてY、Erそれぞれの濃淡電池を作製し、超電力を測定した。Y_<85>Er_<15>、Y_<10>Er_<90>をそれぞれ左極、右極に、また、固体電解質としてY_2(WO_4)_3を用いた場合には左極に対し+10mV、また、Er_2(WO_4)_3の場合には逆に左極に対し-10mV程度の超電力を生じた。このことにより、Y_2(WO_4)_3は合金中のY濃度の濃淡に対して、また、Er_2(WO_4)_3は合金中のEr濃度の濃淡に対して超電力を生じていることがわかる。 以上のことから、Y_2(WO_4)_3、Er_2(WO_4)_3はY、Erの活量差を設けた濃淡電池測定で超電力を生じており、それぞれY^<3+>、Er^<3+>イオン伝導体であることがわかった。
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