研究課題/領域番号 |
07241233
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
河本 邦仁 名古屋大学, 工学部, 教授 (30133094)
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研究分担者 |
徐 元善 名古屋大学, 工学部, 助手 (30242829)
鈴木 豊 名古屋大学, 工学部, 助手 (60023214)
桑原 勝美 名古屋大学, 工学部, 講師 (40023262)
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キーワード | Monomolecular layer / Apatite / Crystallization / Orientation / Morphology / Simulated body fluid / Functional group / Nucleation |
研究概要 |
生体硬組織の無機主成分として有名な水酸アパタイト(Ca_<10>(PO_4)_6(OH)_2)の核生成には表面OH基やCOOH基などが重要な役割を果たすと言われる。また、結晶面によって原子配列が異なることから、形態によって生体活性等の特性が大きく変化することが知られている。本研究では、アパタイト結晶の核生成点になると考えられる種々の官能基を有する両親媒性有機分子の二次元分子超構造を構築し、これを利用してアパタイトの結晶核生成・成長を制御することを目的としている。本年度は、アパタイトと共通の陰イオンであるリン酸基を両親媒性分子としてジヘキサデシルフォスフェート(DHP : (CH_3(CH_2)_<15>)_2PO_4H)を選び、このラングミュア単分子膜下に水酸アパタイトを成長させることを試みた。下層液として、ヒトの体液にほぼ等しい組成を持った擬似体液(pH7.25)を用い、結晶の成長は36.5℃で行った。DHP単分子膜下には、炭酸イオンを若干含む水酸アパタイト(六方晶系)の糸状ないし隣片状の微結晶が成長した。X線的には(100)面が単分子膜面に平行に優先成長していることが判明した。一方、Si単結晶基板上や単分子膜のない自由水面下に成長するアパタイトは、無配向ないし配向したとしても(002)、(211)面配向を示すことから、単分子膜下に成長したアパタイトが特殊な配向を示すことが分かる。これは、DHP膜の分子配列と水酸アパタイト(100)面の原子配列との比較的良好なマッチングがもとになっており、イオンの分子認識に基づく結晶化制御が可能であることを示唆する。今後さらに、多様な官能基を用いて同様の実験を行い、結晶膜の微構造や配向性などの制御の可能性を追求することを課題としたい。
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