研究課題/領域番号 |
07241234
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
永長 久彦 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10114042)
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研究分担者 |
実川 浩一郎 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (50235793)
増田 秀樹 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (50209441)
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キーワード | 非共有性相互作用 / 生命金属錯体 / 素構造 / 自己組織化 / 分子系超構造 / 組織構造化 / 分子認識 |
研究概要 |
生体は多種多様な化学反応を極めて精密に、かつ確実な制御のもとに遂行しており、これらは全て水素結合・静電的相互作用等の非共有性結合が多重的に働くことによって実現されている。本研究では生体系に見られる優れた反応系がこれらの弱い多重相互作用系と密接に関わっていることから、このような高度に組織化された反応系の示す構造を規範とし、高選択性(分子認識)・高活性・高機能な反応場を有する生命金属錯体構造素を合成的に設計・構築し、その生物活性能を発言させることを目的としている。また更に、非共有性相互作用を利用して、自己会合的に集合組織化した多核多重構造体へと発展させ、その生物活性・新機能を発現させることを目的としている。 本年度は、酵素等における分子の認識機能を有する水素結合・静電的相互作用などの非共有性結合を多重的に組み合わせた生体反応系の特殊構造を規範とし、人工的生物活性発現を目指して、モデル金属錯体の構築を行った。具体的には、下記(1)、(2)のような種々の相互作用基に配した特異な配位子を設計・合成し、その超構造化した生命金属錯体の構築を行った。 (1)配位環境を制御した生体系金属錯体素構造の構築:幾つかの合成した新規配位子について種々の酸化状態の遷移金属イオン(銅、鉄)を配位した単核金属錯体を合成し、生物活性能の可能性を研究した。次に、これらの金属錯体素構造と種々の小分子との相互作用・構造・反応性等を分光学的・構造化学的・理論化学的に検討した。その結果、図1のような酸素分子を捕捉・活性化した銅錯体の生成、単離に世界で初めて成功し、確認した。 (2)金属錯体素構造の組織化による生物活性・新機能の検討:また、これらの錯体分子を素構造として、図2のような組織化した多核多重構造体へと発展させた。そして、特に銅の複核錯体について酸素分子の可逆的結合性を検討した結果、その可能性を示唆する結果を得ている。現在その詳細を検討中である。
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