研究概要 |
環境保全触媒プロセスには、通常の化学プロセスとは異なる特殊な反応場で作用する触媒が要求される。本研究では、特殊反応場で高い性能を示す新規触媒の設計指針を得ることを目的として以下の研究を行った。 1.特殊反応場における触媒活性支配因子 各種金属ゼオライト触媒を用いて、窒素酸化物の還元反応速度のゼオライト粒子径依存性からゼオライト細孔内における移動過程の影響及び移動過程にたいする各種分子の吸着の影響を明らかにし、また酸化物マトリックスの利用により耐水熱性に優れたNO還元触媒が設計できることを示した。 2.特殊反応場におけるゼオライトの役割 種々の銅イオン交換ゼオライト上で反応機構ならびに水蒸気の影響を検討し,Cu-Z,Cu-M上でのNO,N_2O分解速度はH_2O添加により減少するが,Cu-Y上ではH_2OによりN_2O分解活性が向上すること,H_2OによるNO分解の抑制はNO_3型中間体の生成を減少させるためであり,H_2Oの添加によりN_2O生成ステップが抑制されることを示した. 3.特殊反応場でのゼオライトの拡散と表面諸特性の変化 シリカライトを用いて二成分系の拡散係数を測定し、遅い成分の拡散速度の共存量の影響を明らかにし、二成分系の拡散係数の予測法を考慮した。またMFI中の拡散係数を測定し、通常の反応温度以上ではシリカライトに一致するが、低温領域では酸点の存在により拡散係数が小さくなることを見いだした。 4.特殊反応場の量子化学・分子動力学計算 密度汎関数法、分子動力学法などの分子設計手法を活用することにより、種々の金属交換ZSM-5のNOx吸着特性、水蒸気やSOxに対する耐被毒性を明らかにするとともに、メタロシリケート触媒、担持貴金属触媒、無機分離膜、金属ポリフィリン触媒における特殊反応場の効果の解明に成果を納めた。
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