研究概要 |
Si源としてオルトケイ酸エチル(TEOS)または水ガラス,Ti源としてオルトチタン酸ブチル(TBOT),型剤にセチルトリメチルアンモニウムイオン(C_<16>TMACl,Br,OH,ClまたはBr/OH=7/3)を用い,静置条件下,100℃,10日間の水熱処理を行うことによりメソポーラスモレキュラーシ-ブを合成した.生成物の構造に影響を与える因子としては,型剤/Si比の他に,型剤の濃度,Si源,共存イオンなどがあることが明らかとなった.本研究では,これらの因子を制御し,さらに,二段階加水分解法を用いることにより,三次元細孔を持つMCM-48の骨格中にチタンを導入できた.UVスペクトルから,二段階加水分解法で合成したTi-MCM-48(1)は270nmの骨格外Ti,312nmのアナターゼの吸収を示すのに対し,一段階法のTi-MCM-48(2)は220nmの孤立4配位Tiの吸収しか示さず,二段階加水分解法が適していることがわかった.また,高分解能電子顕微鏡写真から,立法晶の空間群Ia3dに属する三次元構造が観察された.Ti-MCM-41,Ti-MCM-48を触媒として使用することにより,H_2O_2を酸化剤としたエポキシ化反応を進行させることができた.三次元細孔を持つTi-MCM-48では,一次元細孔を持つTi-MCM-41よりも活性が高かった.H_2O_2よりもTBHPを酸化剤とした方が活性は高くなるが,TiO_2-SiO_2に比べると酸化剤による差はずっと小さくM41Sの親水性は非晶質の場合に比べて小さいことによると解釈された.また,Ti-MCM-48(2)はアナターゼの見られるTi-MCM-48(1)よりもわずかながら高い活性を示した.
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