メソポーラスシリカモレキュラーシ-ブの一つであるMCM-41は六方構造をしており、1.5〜10nmの均一な1次元の細孔を有するまったく新しいタイプの多孔体である。本研究はこのMCM-41を高機能化することにより、革新的な触媒を創製することを目的にしている。すなわち、我々が開発したAtom-Planting法、あるいはアルミニウム共存下での水熱合成によりゼオライトと同等の固体酸性を付与することである。 Atom-Planting法による修飾は、MCM-41を塩化アルミニウム蒸気で600℃処理することにより行った。触媒活性を測定するために、クメンの分解と2-プロパノール脱水反応を行った。 Atom-Planting法により修飾したMCM-41のIRスペクトルを測定したところ、末端シラノール基に帰属されるピークは減少したが、酸性水酸基に帰属されるピークは発現しなかった。また、クメン分解および2-プロパノール脱水活性も未処理のシリカMCM-41よりは高くなるが、ゼオライトに比べるとはるかに低かった。水熱合成の際にアルミニウムを共存させて、アルミノシリケートMCM-41を合成した。合成の際のpHを変えると骨格外アルミニウムの割合は変化し、pH=10.1ではほとんどなくなった。このアルミノシリケートMCM-41のクメン分解および2-プロパノール脱水活性を測定したところ、いずれもゼオライトに比べてはるかに活性が低かった。 以上のように、同じアルミノシリケートであっても、MCM-41はゼオライトに比べてはるかに固体酸触媒活性が低かった。これはゼオライトと異なりMCM-41が結晶性でないことに起因していると推定される。MCM-41を高性能固体酸触媒化するためには新しい修飾法が必要となるであろう。
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