研究分担者 |
玉置 久 神戸大学, 工学部, 講師 (10227267)
山村 雅幸 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (00220442)
出口 弘 中央大学, 商学部, 助教授 (60192655)
寺野 隆雄 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (20227523)
片井 修 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50089124)
|
研究概要 |
GA(Genetic Algorithms)に代表される進化的探索の潜在能力を引き出すためには,コード化/交叉の設計および世代交代モデルの設計が基本となり,前者は形質遺伝という視点,後者は多様性維持という視点が重要とされる.本年度は,特に,下記の点において大きな研究成果を得た. (1)形質遺伝性に優れたコード化/交叉の設計について:巡回セールスマン問題(Traveling Selesman Problem:TSP)を対象に枝交換交叉(Edge Assembly Crossover)を考案し,数千都市規模のTSPの最適解を数時間程度で見いだすことに成功した.また,ジョブショップスケジューリング問題(Job Shop Scheduling problem)を対象にIntermachine Job-based Order Crossoverを考案し,ベンチマークFT10×10,FT20×5に適用して,最適解を非常に高い確率で見いだすことに成功した.さらに,関数最適化を対象に正規分布交叉(Normal Distribution Crossover)を考案し,従来法と比べて,多峰性関数に対して頑健な性能を示すことを確認した.(2)多様性維持に優れた世代交代モデルについて:多様性維持に優れた世代交代モデルとしてMGG(Minimal Generation Gap)を提案した.MGGは世代交代の連続化と部分化,選択範囲の局所化を図ったもので,TSPや関数最適化への適用を通じて,その性能を確認した.また世代交代モデルを評価する基準について考察し,適応度の最良値および分散の時間的変化によって評価するのが妥当であるとの考えを示し,比較実験により,MGGがもっとも優れていることを確認した.(3)形質遺伝過程の可視化について:形質遺伝性に優れたコード化/交叉を設計する上で,形質遺伝過程を動的に把握するための可視化ツールは重要な手がかりを与えてくれるので有用である.本研究では,問題領域の形質が明白に定義されることを前提に両親から生成される子が形質をどの程度受け継いだかを定量的に把握できるための枠組みをつくり,この枠組みのもとで視覚化する方法を提案し,TSPと関数最適化への適用を通じて,提案手法の有効性と一般性を確認することができた.
|