研究分担者 |
三宅 なほみ 中京大学, 情報科学部, 教授 (00174144)
馬場 靖憲 東京大学, 人工物工学研究センター, 助教授 (80238229)
伊関 洋 東京女子医科大学, 脳神経センター, 助手 (90119892)
土肥 健純 東京大学, 工学部, 教授 (40130299)
藤正 巌 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30010028)
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研究概要 |
人工現実感技術は計算機と人間との究極のインタフェースとして最近になってにわかに脚光を浴び多方面に波及しつつあるが,その技術の人間や社会に及ぼす影響や波及効果が十分に認識されないまま広まっていく兆しも現れ,マイナス面にも応用される危険性も指摘されている。本班は,事前評価により人工現実感技術をプラス面に活する方向性を明確にするところにある。 平成7年度は,人工現実感技術を医療・福祉へ具体的に応用するための研究を進め,人間・社会に及ぼす影響の評価については資料・調査などに基づいて基礎的検討を行った。具体的な成果・知見は以下の通りである。 1)病巣部の種々の医用画像を立体マルチ画像として同時一括で表示する感覚表示システム用いて疾患部位の診断を試み,複眼の画像の感覚統合に関する検討を行った(藤正)。 2)人工現実感技術により生成された医用画像を病巣部に重ねマニピュレータを操作しながら模擬的に手術するシミュレーション手術を行った(伊関)。 3)人工現実感システムを用いて知覚運動協応の面で劣っている学習障害児の定量的な診断やリハビリテーションを試みた(伊福部)。 4)高齢者の孤独感や疎外感など精神的なマイナス面を支援したり,緊急通報システムに人工現実感技術を応用する方法の具体案を示した(土肥)。 5)知識,記憶,計算などの概念的リリースと感覚系から入ってくる感覚的リソースを人工現実感システムにより結びつけることにより,発想の支援を行えるかどうかを検討した(三宅)。 6)人工現実感技術を利用したコンピュータゲームを巡る社会現象および企業/都市社会における人工現実感の活用の可能性を調査研究を通じて検討した(馬場)。 以上のように,人工現実感技術を医療福祉へどのように応用すれば良いかが具体的に示され,個人や社会に及ぼす影響についても本格的な調査が行われた。
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