研究課題/領域番号 |
07244223
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
河原 哲夫 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40112776)
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研究分担者 |
吉澤 達也 金沢工業大学, 工学部, 助手 (90267724)
近江 政雄 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70016616)
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キーワード | 人工現実感 / 眼球運動 / 調節応答 / HMD / 仮想作業 / 把持動作 / 立体視 / 両眼視差 |
研究概要 |
本年度は、最初にVPL ResearchのRB2システムを用いて、HMD(Head Mounted Display)とデータグローブによる仮想空間内での物体移動作業実験システムを構築した。この仮想作業において、頭部および手の移動に対するHMDへの立体画像の提示遅れが、視覚機能(眼球運動、調節応答)へ及ぼす影響を解析し、以下の知見を得た。 1.物体移動作業によって、眼球運動および調節応答の速度と潜時の4項目全てにその機能低下が認められる。 2.頭部移動に対する物体と背景の画像提示遅れは、調節応答に比べて眼球運動特性への影響が顕著である。 3.手の移動に対する仮想の手の提示遅れは、視覚機能へ及ぼす影響がほとんど無い。この要因として、手の単純な移動状況では、視覚情報をあまり必要としていないことが考えられる。 さらに、大型ディスプレイによる立体提示システムおよび手の運動軌道計測システムを完成し、仮想物体と実物体に対する手の運動軌道を開眼状態開眼状態で解析した結果、以下の知見を得た。 4.閉眼状態では、仮想物体と実物体に対する手の運動軌道は多くの被験者でほとんど差異がなく、仮想物体と実物体の3次元位置の認識はほぼ同等と考えられる。 5.開眼状態では、仮想物体と実物体に対する運動軌道がほぼ一致する被験者と異なる被験者とが存在する。 6.仮想物体と実物体とで運動軌道が異なる要因として、仮想物体と実際の手との混在状態における両者の同時認識の困難さが考えられる。 今後は、仮想目標物体や仮想の手の画像情報縮減状態における手の運動軌道や追従特性などをより詳細に解析し、インタラクティブな人工現実感システムにおける人間の視覚と運動の機能的側面を明らかにする。
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